【KNBC会員紹介】“まちの水道屋”が挑む人材育成革命
2026.03.13
小池設備、若者が集まり定着する「夢語れる職場」に
あらゆる業界で深刻化する人手不足。高齢化と若手離れが同時に進み、技術継承すら危ぶまれる現場も少なくない。そんな中、水道設備業の小池設備(相模原市南区西大沼)の取り組みが注目されている。全国から若い人材が続々と集まり、定着もしている。なぜか。その答えは「若者が夢を堂々と語れる職場」にあった。
「独立前提」の採用制度
1972年に“まちの水道屋”として創業した小池設備は、マンションや戸建ての給排水設備工事からリフォームまで幅広く手掛ける。約30人いる社員の4分の1ほどが20代だ。昨年は新卒・中途合わせて4人が入社した。
採用方法は異色だ。「最短6年で社長に」を掲げ、未経験者でも独立を前提に受け入れる制度がある。人材を囲い込むのではなく、送り出す。その姿勢がかえって優秀な若手を引き寄せている。
「全国で水道工事業者は減っています。地方では後継者難などを背景に廃業が増えてきました」と小池重憲社長。水道工事の現場では6年あれば一通りの技術が身に付く。小池社長が目指すのは、自社で育てた人材を各地に送り出し、衰退する業界の担い手を増やすことだという。
会社に残れば定着
単なる独立支援にとどまらない。同業者の2代目はもちろん、リフォーム業や塗装店の後継者が「武者修行」として入社するケースもある。先頃も大阪出身の社員が、6年間の修業を経て祖父の経営する水道工事会社に戻った。

こうした「卒業生」の存在は、残る社員にも刺激を与えているという。その一方で、入社後に考えが変わり、独立せず同社に残る道を選ぶ社員もいる。ただ、6年で技術を身に付けた人材は「会社の戦力として定着します」(小池社長)と言う。
工業高校訪問や「夢会議」
若い人材の採用につなげるため、小池社長は十数年前から全国の工業高校などの訪問を続けている。その数は累計100校に上る。そして入社した新卒に対するフォローもきめ細かい。本人が現場で活躍している写真を添え、小池社長が手紙を付けて両親と母校の先生に送っている。「親御さんも先生も安心してくれます。本人も実家や母校に戻った際、『頑張っているね』と言われるとモチベーションが高まります」(同)。
若手が定着し成長する仕掛けがもう一つある。月1回の「夢会議」だ。終業後に集まり、軽食と飲み物を囲みながら、社員が「個人的な夢」を語り合う。毎回数人が発表し、参加者全員でその実現に向けたプロセスを議論する。もちろん、小池社長も参加して夢を語る。
「お金持ちになりたい」「クルマが欲しい」…。いくつ夢を語ってもよい。一見すると、日々の仕事とは無関係に思える。だが「夢を言葉にすることで、その実現のために何をすべきかを考えるようになります。具体的に行動が変わった社員を何人も見てきました」と、小池社長は力説する。夢を語る場が、人を育てる場になっている。
“まちの水道屋”が実践する人材育成モデルは、人手不足や後継者難に苦しむ多くの中小企業に一つの解を示している。
※記事出典:かながわ経済新聞より
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