【かながわ経済新聞】吉原会長インタビュー「10年で10社の上場目指す」
神奈川ニュービジネス協議会(KNBC)は、起業家が成功していくための支援や中堅・中小企業の活性化を目的に2008年に発足。約90社が参加し、定例会や会員同士による情報交換なども盛んだ。起業家育成に対する機運の高まりを背景に、存在感を強めている組織でもある。5月に会長に就任したばかりの吉原直樹氏(アルテサロンホールディングス会長・創業者)に会の活動や起業家育成の展望などについて聞いた。
―活動内容について教えてください。
「企業経営の研修所のような組織と言える。起業したばかりの人から年商数千億円企業の社長まで、規模や業種を問わずさまざまな会員が参加している。例えば起業して間もない人が、大企業の経営者の話を聞いても参考にしにくい。しかし、起業後数年で会社を成長させている経営者の話なら参考にできる。同じように、年商5億円企業の経営者が10億円の企業の経営者に聞けば参考になる。つまり、企業のステップアップに応じて先輩がいて、ビジネスの成長につながる活動をしている。敷居も低い」
―サービス業の経営者から初めてKNBC会長になりました。
「製造業でも同じことが言えるが、今はプロダクトアウトではなくマーケットインの時代。日本の携帯電話や薄型テレビが世界を席巻できなかった理由は、途上国では必要のない機能を付けすぎて現地化できなかったからだ。これからはマーケットをリサーチする力が必要になる。そう考えると、どんな業種であっても、サービス業などと結びついていかないとニュービジネスは発展できないと思う」
―日本は欧米に比べると開業率が低いです。
「私もそうだったが、昔は起業したら失敗ができない時代だった。経営者はお金を借りたら自宅を担保に入れてでも返さなければいけない。それが誠実で良い会社だとされた。開業率が低いのはそうしたイメージが根強いことも原因なのでは。しかし今は異なり、起業がしやすい時代だ」
「50代で起業するのも良いと思う。20代で起業する場合、ビジネスモデルが相当しっかりしていないと厳しい。その点、歳を重ねるにしたがってキャリアも重なっていき、50代ではそのピークを迎える。よく役職定年が50代前半で給料カットされるケースもあるが、それなら起業して社長になれば、あと20年は働ける。自分の頑張り次第で給料も上がる」
―会の活動で今後の目標は。
「会員数の拡大はもちろんだが、今後10年で会員から10 社の上場企業を輩出したい。ただ、上場だけが全てではないので、若手経営者には『まともな会社』を目指してほしい。『まとも』とは、しっかりとした売り上げがあって、利益が出ていて理念もある。人に誇れるような会社だ」
(かながわ経済新聞記事より)